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IFRS対応プロジェクト最前線 Part28:IFRSの任意適用を拡大させる第一弾か?(2013/6/23)

東京と大阪の株式市場の統合を機にできた日本取引所グループ(JPXグループ)と日本経済新聞社は、今年の5月14日に、「新指数共同開発の合意に関するお知らせ」をリリースしました。

「投資魅力の高い日本企業を内外にアピールする」という共通認識のもとで、新指数を共同開発するというのです。

新指数の対象となる企業は、JPXグループ傘下で統合予定の現物株市場(現在の東証1部、東証2部、東証マザーズ、大証1部、大証2部及びJASDAQ)に上場する企業です。

今後、銘柄選定や算出のルールを練り上げていく方針とのことで、その選定基準や算定ルールのポイントは、
  1. 資本の効率的活用や持続的な企業価値向上に資する経営の観点のほか、
  2. グローバルな投資基準に求められる定性的要素など、
  3. 幅広い観点からの分析を踏まえて
開発されるということです。

さて、ここで、6月19日に開催された企業会計審議会において、金融庁が提出した「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針(案)」の3ページ目に、以下の記述があります。

金融商品取引所においても、新たに開発することとされている新指数の対象企業の選定にあたって、IFRSの適用を考慮することが期待される。

この資料にある「新指数」というのは、冒頭のプレス・リリースでふれた、JPXグループと日経新聞が共同開発する「新指数」であることに間違いないでしょう。

ここに、金融庁企業会計審議会の動きとJPXグループの動きに接点があるのです。

すなわち、金融庁は、新指数の対象企業にピュアIFRSか日本版IFRSを強制適用させるか、任意適用を「個別に強く」要請することで、ある程度の企業数がIFRSを適用し、任意適用数の拡大策として有望視しているのではないかと、私は考えています。

そして、冒頭にお知らせしたJPXグループのプレス・リリースの最後に以下の表現があります。

今後、JPXグループと日経は、市場関係者のご意見も参考にしながら、現物株市場の統合時期(本年7月予定)を目途に新指数の骨子を固めたうえで、年内の算出開始を目標として、新指数の開発に共同して取り組んでまいります。

つまり、「新指数」は年内に共同開発されるということです。

そうなると、ピュアIFRSに抵抗感のある企業のために、日本版IFRSを「年内に」示す必要があるというスピード感とも一致するように思います。

次の関心は、「新指数」に選ばれる銘柄はどこか?!
ということになるでしょう。

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IFRS対応プロジェクト最前線
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Part3:グループ会計方針(2010/11/23)
Part4:影響度調査後のプロジェクト体制 (2010/12/9)
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Part6:影響度調査の盲点 (2011/1/21)
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Part8:2011年3月時点でのIFRS対応状況(2011/3/14)
Part9:IFRS適用時期と大震災(2011/4/27)
Part10:中国子会社の決算期ズレへの対応方法(2011/5/18)
Part11:IFRSでの勘定科目体系(2011/5/27)
Part12:グループ会計方針での重要性の判断規準(2011/6/1)
Part13:自見庄三郎金融担当大臣の談話に関する留意点(2011/6/27)
Part14:6月30日の企業会計審議会の議論について(2011/7/14)
Part15:IFRS適用の今後の展開予測(2011/7/14)
Part16:さまざまなグループ会計方針書(2011/8/31)
Part17:IFRS決算体制はいつから検討するか(2012/2/8)
  Part18:馬鹿に出来ない!?最初のIFRS財務諸表をアニュアルレポートで開示するメリット(2012/4/11)
  Part19:金融商品としての売掛金の開示(2012/4/24) 
  Part20:うちはどうするIFRS?(2012/6/19)  
  Part21:膨大な注記への対応(2012/7/31)
  Part22:定額法への減価償却方法の変更の動向(2012/8/27) 
  Part23:減価償却方法変更の記載事例(2012/9/16)  
  Part24:耐用年数変更の記載事例(2012/10/1)   
  Part25:監査法人へのIFRS対応報酬の支払状況(2012/11/12)  
  Part26:IFRS任意適用の動向(2013/4/2) 
  Part27:J-IFRS(日本版IFRS)のねらい(2013/6/20)  
  Part28:IFRSの任意適用を拡大させる第一弾か?(2013/6/23)   
  Part29:IFRSの任意適用拡大に向けての経団連の期待と役割(2013/9/2)    
  Part30:日本企業同士の合併とIFRS(2013/10/11) 
  Part31:新指数『JPX日経インデックス400』はIFRS任意適用拡大に影響があるか(2013/12/24)  
  Part32:自民党・日本経済再生本部の「日本再生ビジョン」におけるIFRSの記載(2014/6/5)
  Part33:骨太の方針とIFRS(2014/6/27)  
  Part34:任意適用積み上げの動向と強制適用の可能性(2015/1/13)     
  Part35:注記情報の大幅削減が可能に!!(2015/2/9)  
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  Part38:IFRS適用の対応コスト(2015/6/9)     
  Part39:4つの会計基準収斂の方向性(2015/6/9)  
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  Part41:丸紅の初度適用(短信からの初度適用)(2015/9/8)   
  Part42:単体財務諸表へのIFRS任意適用の動き(2016/9/9)
  Part43:米国基準を適用している企業の動き(2017/3/15)
  
中田版『IFRSの誤解』 
Part1:包括利益(2010/8/6)
Part2:連結の範囲 (2010/8/30)
Part3:棚卸資産会計(2010/9/27)
Part4:IFRS適用時期(2010/10/05)
Part5:海外子会社の機能通貨(2010/10/12)
Part6:収益認識(FOBとCIF)(2010/11/8)
Part7:初度適用と海外子会社のPL換算(2010/12/29)
Part8:IAS第16号の「一会計期間」は「一年」(2011/1/14)
Part9:海外子会社の機能通貨(その2)(2011/3/7)
Part10:子会社の会計方針の統一(2011/3/28)
Part11:IFRSは時価会計的でM&Aのためにある(2011/7/25)
Part12:IFRSは投資家にとっても役に立たない(2011/8/1)
  Part13:300万円ルールなどがないIFRSではすべてのリースがオンバランスになる(2014/2/24)   
  Part14:開示義務の明文規定がある場合には、すべて開示しなければならない(2014/5/9) 
 
勝手に解説『山田辰己理事のIASB会議レポート』
Part1:連結子会社の開示
 (2010/8/17)
Part2:概念フレームワーク
 (2010/8/23)
Part3:アメリカの動向(2011/8/23)
 
『グループ法人税制が与える連結決算への影響』
Part1:固定資産未実現に係る税効果の会計手続き(譲渡損益調整資産の取扱い)(2010/9/7)
Part2:連結法人間の寄附金に係る税効果の会計手続き
(2010/9/13)
Part3:中小特例の取扱い(2010/9/21)
 

『やさしく深掘り IFRSの概念フレームワーク』
『やさしく深掘り IFRSの有形固定資産』
『わかった気になるIFRS』
『連結経営管理の実務』
『内部統制のための連結決算業務プロセスの文書化』


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