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災害時の開示 PART3-3:三洋電機(半期報告書:後発事象)(2011/3/29)

今回は、平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震の際に、平成16年9月30日に終了する中間決算について、三洋電機(株)が作成した半期報告書から、重要な後発事象の注記について、解説したいと思います。

以下の開示例の内容を整理すると以下のような項目が記載されています。
<第1段落>
@ 災害の発生日時:平成16年10月23日
A 災害の名称:新潟県中越地震
B 災害発生事業所名:新潟三洋電子
C Bのグループ内の位置づけ:当社グループの半導体事業の中核をなす連結子会社
D Bの事業内容:BIP−LSI、MOS−LSIの前工程の製造
E 被害の概要と現状:重大な被害を受け操業を停止

<第2段落>
@ 具体的な被害状況:地震による製造装置の移動によるユーティリティーの破損やウエハー洗浄工程における塩素ガスの発生に伴う製造装置の汚損等が中心
A 現在までの取り組み:ユーザーへの製品供給を最優先に順次製造設備の復旧作業、及び他の生産拠点での代替生産に全力を挙げて取り組んでいる
B 現時点での被害の見積り:全体の被害総額(復旧費用を含む)を見積ることは未だ困難な状況にある

<第3段落>
@ 当面の見通し:同社の操業停止による影響を最小限に留めるべく対処しているが、当下期以降、復旧費用を含む設備関係の被害を中心に影響が顕在化し、当社グループの半導体事業全体における収益の悪化が見込まれる
A 財政状態及び経営成績に与える影響:現時点では、当社グループの財政状態及び当下期以降の経営成績に与える影響を測ることは困難

<参考情報>
主要な被災資産の被災前の簿価と年間生産高

以上が、開示内容の概要になります。
とくに最後に開示されている「参考情報」が重要です。
第2段落で被害総額が見積もれないとし、第3段落で財政状態及び経営成績への影響は測定できないとしながらも、おおよその影響度について財務諸表利用者の判断のための情報の一つとして、被災前の状況を開示しています。

以下が、実際の開示内容になります。

======================================
  三洋電機株式会社 中間報告書
  第81期(自 平成16年4月1日 至 平成16年9月30日)

第5【経理の状況】
  1【中間連結財務諸表等】
    (中間連結財務諸表注記)
      11.重要な後発事象

平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震により、当社グループの半導体事業の中核をなす連結子会社である新潟三洋電子梶iBIP−LSI、MOS−LSIの前工程の製造)が重大な被害を受け操業を停止している。
具体的な被害状況は、地震による製造装置の移動によるユーティリティーの破損やウエハー洗浄工程における塩素ガスの発生に伴う製造装置の汚損等が中心である。現在、ユーザーへの製品供給を最優先に順次製造設備の復旧作業、及び他の生産拠点での代替生産に全力を挙げて取り組んでいるが、全体の被害総額(復旧費用を含む)を見積ることは未だ困難な状況にある。
同社の操業停止による影響を最小限に留めるべく対処しているが、当下期以降、復旧費用を含む設備関係の被害を中心に影響が顕在化し、当社グループの半導体事業全体における収益の悪化が見込まれるが、現時点では、当社グループの財政状態及び当下期以降の経営成績に与える影響を測ることは困難である。

<参考>
被災した新潟三洋電子鰍ェ保有する主な資産の平成16年9月30日現在の帳簿価額は次のとおりである。(損害額を示すものではない。)
 主要な被災資産   保有資産の帳簿価額
 棚卸資産          7,885百万円
 建物            31,741百万円
 機械及びその他     30,922百万円
また、同社の2003年度の年間生産高は48,092百万円であった。

======================================
以上です。

なお、本コラム「カレント・トピックス」のPART3-1から3-6で取り上げた、三洋電機株式会社の開示資料は、以下のURLで閲覧できます。
http://sanyo.com/ir/jp/library/financialreports.html

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Part4:後発事象の開示事例集(2011/3/30)
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Part6:有価証券報告書での開示事例集(2011/4/1)
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Part8:協会会長通牒にある『阪神・淡路大震災に係る災害損失の会計処理及び表示について』(2011/4/6)
Part9:東日本大震災の四半期報告書での開示事例集(2011/4/13)
Part10:国税庁の「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ」(2011/4/18)
Part11:国税庁の法令解釈通達「東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱いについて」と質疑応答事例(2011/4/22)
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  Part42:単体財務諸表へのIFRS任意適用の動き(2016/9/9)
  Part43:米国基準を適用している企業の動き(2017/3/15)
  
中田版『IFRSの誤解』 
Part1:包括利益(2010/8/6)
Part2:連結の範囲 (2010/8/30)
Part3:棚卸資産会計(2010/9/27)
Part4:IFRS適用時期(2010/10/05)
Part5:海外子会社の機能通貨(2010/10/12)
Part6:収益認識(FOBとCIF)(2010/11/8)
Part7:初度適用と海外子会社のPL換算(2010/12/29)
Part8:IAS第16号の「一会計期間」は「一年」(2011/1/14)
Part9:海外子会社の機能通貨(その2)(2011/3/7)
Part10:子会社の会計方針の統一(2011/3/28)
Part11:IFRSは時価会計的でM&Aのためにある(2011/7/25)
Part12:IFRSは投資家にとっても役に立たない(2011/8/1)
  Part13:300万円ルールなどがないIFRSではすべてのリースがオンバランスになる(2014/2/24)   
  Part14:開示義務の明文規定がある場合には、すべて開示しなければならない(2014/5/9) 
 
勝手に解説『山田辰己理事のIASB会議レポート』
Part1:連結子会社の開示
 (2010/8/17)
Part2:概念フレームワーク
 (2010/8/23)
Part3:アメリカの動向(2011/8/23)
 
『グループ法人税制が与える連結決算への影響』
Part1:固定資産未実現に係る税効果の会計手続き(譲渡損益調整資産の取扱い)(2010/9/7)
Part2:連結法人間の寄附金に係る税効果の会計手続き
(2010/9/13)
Part3:中小特例の取扱い(2010/9/21)
 

『やさしく深掘り IFRSの概念フレームワーク』
『やさしく深掘り IFRSの有形固定資産』
『わかった気になるIFRS』
『連結経営管理の実務』
『内部統制のための連結決算業務プロセスの文書化』


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