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災害時の開示 PART3-2:三洋電機(適時開示−地震発生から約2ヶ月)(2011/3/29)

今回は、平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震の際に、平成16年12月21日に発表された、三洋電機(株)適時開示報告を、解説したいと思います。

以下の開示例の内容を整理すると以下のような項目が記載されています。

@ 当該連結子会社の名称、住所及び代表者の氏名:新潟三洋電子株式会社など
A 災害の発生日時:   平成16年10月23日
B 当該重要な災害が発生した場所:  新潟三洋電子株式会社敷地内
C 当該重要な災害により被害を受けた資産の種類
  及び被害額並びにそれに対して支払われた保険金額
  イ.資産の種類及び被害額:      総額503億円
  ロ.上記に対して支払われる保険金額 : なし
D 当該重要な災害による被害が連結会社の事業に及ぼす影響:
  イ.11月30日に、電気、水、空調、ガスなどのユーティリティが復旧
  ロ.12月6日より一部ラインで試作・評価ロットの投入開始。
    12月22日より一部ラインで生産再開予定。
  ハ.同社が通常操業に至っていないため、一部品種に関して、
    11月8日より、グループ内での代替生産を開始。
  ニ. クリーンルーム内での一部のガス漏洩などに関して地域環境への影響はない
E 損益及び連結損益に与える影響額の見込額:  約870億円


以下が、実際の開示内容になります。

======================================
               新潟県中越地震による影響について
平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震によって操業を停止いたしておりました新潟三洋電子株式会社の現況及び当該地震が当社の損益及び連結損益に与える影響につきまして、下記のとおりお知らせいたします。
                          記
1. 当該連結子会社の名称、住所及び代表者の氏名
  イ. 名称 新潟三洋電子株式会社
  ロ. 住所 新潟県小千谷市大字千谷甲3000番地
  ハ. 代表者の氏名 窪田 徹哉
2. 当該重要な災害の発生年月日
  平成16年10月23日
3. 当該重要な災害が発生した場所
  新潟県小千谷市 新潟三洋電子株式会社敷地内において
4. 当該重要な災害により被害を受けた資産の種類及び被害額並びにそれに対して
  支払われた保険金額
    イ.資産の種類及び被害額
       機械及びその他(注1)  184億円 (内、除却簿価 117億円)
       棚卸資産           46億円 (内、除却簿価 46億円)
       復旧費用等(注2)     270億円
       設備投資            3億円
                     計503億円
     (注1)機械及びその他には、リース設備を含んでおります。
     (注2)復旧費用等は、固定資産の解体・撤去費及び修繕費並びに
         立ち上げ費用等であります。
     (注3)上記金額は、平成16年12月21日現在の見込額であります。
    ロ. 上記に対して支払われる保険金額 : ありません。
5. 当該重要な災害による被害が連結会社の事業に及ぼす影響
  イ. 11月30日に、電気、水、空調、ガスなどのユーティリティが復旧し、
    現在、一部生産再開に向けてのクリーンルーム内設備の復旧作業として
    ユーティリティへの繋ぎ込み及び装置の立ち上げを行っております。
  ロ. 12月6日より一部ラインで生産に先立つ試作・評価ロットの投入を開始し、
    12月末に生産再開できるよう全力で取り組んでおりましたが、
    12月22日より一部ラインで生産再開の予定であります。
  ハ. 同社が通常操業に至っていない事を受け、一部の品種(AV用MOS−LSI)に
    関しては、11月8日より、群馬(当社東京製作所)と岐阜(当社連結子会社で
    ある岐阜三洋電子株式会社)での代替生産を開始しております。
  ニ. なお、クリーンルーム内での一部のガス漏洩や排水タンクからの一部排水漏洩が
    ありましたが、いずれも地域環境への影響はないと考えております。
    これらの状況につきまして、関係行政当局及び地域住民に対して報告・説明を
    行いました。今後も引き続きモニタリング・調査を継続いたします。

6. 当該重要な災害による被害が当社の損益及び連結損益に与える影響額

  当社の損益及び連結損益に与える影響の見込額は以下のとおりであります。

                   単独損益  連結損益
機械及びその他の被害額    −億円    184億円
棚卸資産の被害額        −億円     46億円
復旧費用等             −億円    270億円
売上減少に伴う影響      160億円    370億円
計                  160億円    870億円
======================================

なお、本コラム「カレント・トピックス」のPART3-1から3-6で取り上げた、三洋電機株式会社の開示資料は、以下のURLで閲覧できます。
http://sanyo.com/ir/jp/library/financialreports.html

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災害時の開示
Part1:災害時の決算処理(2011/3/18)
Part2:特定非常災害特別措置法(2011/3/28)
Part3-1:三洋電機(適時開示−地震発生から2日後)(2011/3/29)
Part3-2:三洋電機(適時開示−地震発生から約2ヶ月)(2011/3/29)
Part3-3:三洋電機(半期報告書:後発事象)(2011/3/29)
Part3-4:三洋電機(四半期決算短信)(2011/3/29)
Part3-5:三洋電機(有価証券報告書)(2011/3/29)
Part3-6:三洋電機(招集通知)(2011/3/29)
Part4:後発事象の開示事例集(2011/3/30)
Part5:法務省「定時株主総会の開催の延期」について(2011/3/30)
Part6:有価証券報告書での開示事例集(2011/4/1)
Part7:東日本大震災に関する有報での開示事例集(2011/4/4)
Part8:協会会長通牒にある『阪神・淡路大震災に係る災害損失の会計処理及び表示について』(2011/4/6)
Part9:東日本大震災の四半期報告書での開示事例集(2011/4/13)
Part10:国税庁の「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ」(2011/4/18)
Part11:国税庁の法令解釈通達「東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱いについて」と質疑応答事例(2011/4/22)
カレントトピックス
災害時の開示
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IFRS開示事例研究
Part1:HOYA(2015.03)の重要な会計方針の要約
(2015/6/9) 
  Part2:日本取引所(2015.03)の現金同等物の開示
(2015/7/28)
  Part3:改定されたIAS第1号「財務諸表の表示」(開示イニシアチブ)の適用状況調査(2015/7/28) 
  Part4:定率法の採用を表現している企業の開示(2016/3/8)
  Part5:金融庁「IFRSに基づく連結財務諸表の開示例」の「留意事項」と「重要性の方針の開示例」(2016/4/7)   
 
子会社のIFRS
Part1:組替仕訳の繰越手続き(開始仕訳)の考え方
(2014/12/11)
   
IASB概念フレームワークと日本版IFRS
Part1:保守主義の復活?
(2013/10/22)
  Part2:発生可能性(蓋然性)の取り扱い(2013/11/1) 
  Part3:「純利益とOCI及びリサイクリング」の取り扱い(2013/12/4)  
   
日本企業をダメにする会計制度
Part1:開発費会計
(2013/2/3)
  Part2:減損会計
(2013/2/11)  
  Part3:のれん
(2013/2/21)   
  Part4:リース会計
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個別論点IFRS
Part1:金型(2011/1/28)
Part2:広告宣伝費、販促費及び通信販売のカタログ(2011/2/4)
Part3:IFRS適用で失われる税務メリット(2011/2/11)
Part4:支払利息の原価参入(2011/2/26)
Part5:有形固定資産(初度適用)のみなし原価の実務対応(2011/4/18)
Part6:投資不動産とリース会計(2011/6/10)
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Part8:外貨建取引の換算と個別会計システム(2011/9/7)
Part9:減損の兆候(2011/9/26)
Part10:経済的耐用年数のあの手この手(2011/10/13)
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Part12:有給休暇引当金を計上しないケース(2011/11/9)
Part13:自己株式を取得するための付随費用(2011/12/15)
Part14:有形固定資産(初度適用)のみなし原価の実務対応(その2)(2011/12/26)
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Part16:製品原価計算項目の会計基準差異の税務上の取扱い(2012/3/13)
  Part17:棚卸資産の評価とAging(長期滞留)(2012/5/23)
  Part18:資本的支出後の減価償却資産の償却方法等(2012/12/24) 
  Part19:開発費の償却費は原価参入するべきか?(2013/4/3)  
  Part20:有給休暇引当金の対応事例(2014/1/24)  
  Part21:改定後IAS第19号の退職給付の開示事例(2014/4/3)   
  Part22:有給休暇引当金開示の実態と分析(2014/9/9)    
  Part23:開発費資産計上の実態と分析(2014/11/10)   
  Part24:賦課金の会計処理と固定資産税(2015/11/18)  
  Part25:闇に葬られてしまった有給休暇引当金問題(2016/9/9)   
  
IFRS対応プロジェクト最前線
Part1:影響度調査での重要性(2010/10/19)
Part2:影響度調査が終わったら(2010/10/25)
Part3:グループ会計方針(2010/11/23)
Part4:影響度調査後のプロジェクト体制 (2010/12/9)
Part5:公開草案への対応 (2011/1/7)
Part6:影響度調査の盲点 (2011/1/21)
Part7:IFRS適用時の監査対応 (2011/2/21)
Part8:2011年3月時点でのIFRS対応状況(2011/3/14)
Part9:IFRS適用時期と大震災(2011/4/27)
Part10:中国子会社の決算期ズレへの対応方法(2011/5/18)
Part11:IFRSでの勘定科目体系(2011/5/27)
Part12:グループ会計方針での重要性の判断規準(2011/6/1)
Part13:自見庄三郎金融担当大臣の談話に関する留意点(2011/6/27)
Part14:6月30日の企業会計審議会の議論について(2011/7/14)
Part15:IFRS適用の今後の展開予測(2011/7/14)
Part16:さまざまなグループ会計方針書(2011/8/31)
Part17:IFRS決算体制はいつから検討するか(2012/2/8)
  Part18:馬鹿に出来ない!?最初のIFRS財務諸表をアニュアルレポートで開示するメリット(2012/4/11)
  Part19:金融商品としての売掛金の開示(2012/4/24) 
  Part20:うちはどうするIFRS?(2012/6/19)  
  Part21:膨大な注記への対応(2012/7/31)
  Part22:定額法への減価償却方法の変更の動向(2012/8/27) 
  Part23:減価償却方法変更の記載事例(2012/9/16)  
  Part24:耐用年数変更の記載事例(2012/10/1)   
  Part25:監査法人へのIFRS対応報酬の支払状況(2012/11/12)  
  Part26:IFRS任意適用の動向(2013/4/2) 
  Part27:J-IFRS(日本版IFRS)のねらい(2013/6/20)  
  Part28:IFRSの任意適用を拡大させる第一弾か?(2013/6/23)   
  Part29:IFRSの任意適用拡大に向けての経団連の期待と役割(2013/9/2)    
  Part30:日本企業同士の合併とIFRS(2013/10/11) 
  Part31:新指数『JPX日経インデックス400』はIFRS任意適用拡大に影響があるか(2013/12/24)  
  Part32:自民党・日本経済再生本部の「日本再生ビジョン」におけるIFRSの記載(2014/6/5)
  Part33:骨太の方針とIFRS(2014/6/27)  
  Part34:任意適用積み上げの動向と強制適用の可能性(2015/1/13)     
  Part35:注記情報の大幅削減が可能に!!(2015/2/9)  
  Part36:開示ボリュームを激減させる具体例(2015/5/14)   
  Part37:連結決算短信での「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の記載状況(2015/6/9)   
  Part38:IFRS適用の対応コスト(2015/6/9)     
  Part39:4つの会計基準収斂の方向性(2015/6/9)  
  Part40:IFRS財団は日本の現状をどう見ているか(2015/7/28)   
  Part41:丸紅の初度適用(短信からの初度適用)(2015/9/8)   
  Part42:単体財務諸表へのIFRS任意適用の動き(2016/9/9)
  Part43:米国基準を適用している企業の動き(2017/3/15)
  
中田版『IFRSの誤解』 
Part1:包括利益(2010/8/6)
Part2:連結の範囲 (2010/8/30)
Part3:棚卸資産会計(2010/9/27)
Part4:IFRS適用時期(2010/10/05)
Part5:海外子会社の機能通貨(2010/10/12)
Part6:収益認識(FOBとCIF)(2010/11/8)
Part7:初度適用と海外子会社のPL換算(2010/12/29)
Part8:IAS第16号の「一会計期間」は「一年」(2011/1/14)
Part9:海外子会社の機能通貨(その2)(2011/3/7)
Part10:子会社の会計方針の統一(2011/3/28)
Part11:IFRSは時価会計的でM&Aのためにある(2011/7/25)
Part12:IFRSは投資家にとっても役に立たない(2011/8/1)
  Part13:300万円ルールなどがないIFRSではすべてのリースがオンバランスになる(2014/2/24)   
  Part14:開示義務の明文規定がある場合には、すべて開示しなければならない(2014/5/9) 
 
勝手に解説『山田辰己理事のIASB会議レポート』
Part1:連結子会社の開示
 (2010/8/17)
Part2:概念フレームワーク
 (2010/8/23)
Part3:アメリカの動向(2011/8/23)
 
『グループ法人税制が与える連結決算への影響』
Part1:固定資産未実現に係る税効果の会計手続き(譲渡損益調整資産の取扱い)(2010/9/7)
Part2:連結法人間の寄附金に係る税効果の会計手続き
(2010/9/13)
Part3:中小特例の取扱い(2010/9/21)
 

『やさしく深掘り IFRSの概念フレームワーク』
『やさしく深掘り IFRSの有形固定資産』
『わかった気になるIFRS』
『連結経営管理の実務』
『内部統制のための連結決算業務プロセスの文書化』

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