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災害時の開示 PART4:後発事象の開示事例集(2011/3/30)

今回は、平成16年9月30日を中間決算期末とする半期報告書について解説したいと思います。当時はまだ四半期報告書制度になる前だったので、半期報告書を対象にします。
新潟県中越地震は平成16年10月23日に発生したので、平成16年9月30日を中間決算期末とする場合には、後発事象に該当したのです。
以下の17社が、中間連結財務諸表や中間財務諸表の注記事項に「重要な後発事象」として開示しています。
なお、三洋電機株式会社については、前回取り上げたので含めていません。
これらの開示はすべて6年以上前なので、現在のEDINETでは閲覧できないようです。
また、各企業のホームページでも5年を超えて報告書を閲覧できるようにしている企業は非常に少ないようです。

災害開示_重要な後発事象 (会社一覧)

上記17社の開示事例から、以下の特徴的な事例を紹介します。
【ケース1】最も短い文章のケース(潟jチロサンフーズ)
【ケース2】被害が軽微と見込まれるケース(北越紀州製紙梶j
【ケース3】倒壊はないが建て替えることとしたケース(潟cガミ)
【ケース4】取引先への影響を見積もることが困難としたケース(竃k越銀行)
【ケース5】直接的な損害はないが、キャンセル等により、下期以降の業績に影響があるとしたケース(長岡都市ホテル資産保有梶j
【ケース6】最も長い文章のケース(原信ナルスホールディングス梶j

それでは、実際の開示内容を示します。
【ケース1】最も短い文章のケース(潟jチロサンフーズ)
平成16年10月23日の新潟県中越地震により、地震発生時の製造中止による生産工程在庫廃棄損など約30百万円の特別損失が発生する見込みです。

【ケース2】被害が軽微と見込まれるケース(北越紀州製紙梶j
当社の長岡工場および持分法適用会社である潟jッカンは、平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震に被災いたしましたが、幸い軽微な損傷でありました。現在、生産活動は既に復旧しております。
なお、当連結会計年度業績に与える影響は現在算定中でありますが、損害金額は軽微なものと見込まれます。

【ケース3】倒壊はないが建て替えることとしたケース(潟cガミ)
新潟県中越地震による業績に与える影響
平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震により、当社長岡工場の建物等について倒壊はありませんでしたが、今後強い地震が発生した場合の危険回避のため老朽建物(3棟)を全面的に建て替えることとしました。
これに伴う損失額は概ね次のとおり見込んでおります。
   建物等除却損               180百万円
   取壊し撤去費用・設備移設費用他    220
   合計                     400百万円

【ケース4】取引先への影響を見積もることが困難としたケース(竃k越銀行)
平成16年10月23日に発生しました「新潟県中越地震」により、中越地区の数店舗が被災いたしましたが、これによる店舗被害等は軽微であります。
また、現段階で地震が及ぼす取引先への影響を見積もることは困難であります。

【ケース5】直接的な損害はないが、キャンセル等により、下期以降の業績に影響があるとしたケース(長岡都市ホテル資産保有梶j
平成16年10月23日に新潟県中越地震が発生しました。
地震後、宴会等のキャンセルが相次ぎ、下期以降の業績に多大な影響を及ぼす見込みであります。

【ケース6】最も長い文章のケース(原信ナルスホールディングス梶j
 新潟県中越地震の発生により、当社の出店地域が甚大な被害を受けました。
 これに伴い、当社の店舗において、建物の損壊や設備の損傷、商品の破損等重大な損害が発生いたしました。
(1) 重要な災害の発生年月 平成16年10月23日
(2) 重要な災害が発生した場所 主として新潟県中越地区
(3) 被害を受けた資産の種類及び帳簿価額
@ 事業所名 今朝白店、他10店舗
 所在地  新潟県長岡市
 設備の内容 店舗
 帳簿価額
    商品          45,943千円
    建物他固定資産   31,510千円
    計            77,454千円
A 事業所名 西小千谷店、他1店舗
 所在地  新潟県小千谷市
 設備の内容 店舗
 帳簿価額
    商品          32,600千円
    建物他固定資産  107,284千円
    計           139,884千円
B 事業所名 見附店
 所在地  新潟県見附市
 設備の内容 店舗
 帳簿価額
    商品          6,862千円
    建物他固定資産  40,151千円
    計           47,014千円
C 事業所名 十日町店、他1店舗
 所在地  新潟県十日町市
 設備の内容 店舗
 帳簿価額
    商品         32,600千円
    建物他固定資産 107,284千円
    計          121,297千円
D その他
 設備の内容 店舗他
 帳簿価額
    商品         13,368千円
    建物他固定資産  49,250千円
    計            62,618千円
(注)
 1 上記金額に消費税等は含まれておりません。
 2 建物他固定資産の帳簿価額については、損害を受けた資産の修繕に要する費用
   及び再取得に要する費用について見積書に基づき合理的に算定した金額を記載しております。
 3 上記金額は、現時点で判明している被害の状況に基づいて算定した金額でありますが、
   今後、 加的な修繕等が必要になった場合や見積り内容が変更になった場合には、
   金額が変動する可能性があります。
(4) 支払われた保険金額
保険金の支払については、現在、損害保険会社において査定中でありますが、当該店舗等の商品及び固定資産等に対して総額400,000千円を付保しております。
(5) 当該重要な災害による被害が事業に及ぼす影響
営業の復旧につきましては、壊滅的な被害を受け現状復旧および営業継続が困難な3店舗の閉鎖を除き、平成16年11月中に全店舗で通常営業を再開しております。
なお、閉鎖を行った3店舗は、以下のとおりであります。
@ 事業所名 中沢店 所在地  新潟県長岡市
閉鎖日  平成16年10月31日
年間売上高(平成16年3月期) 354,662千円
A 事業所名 見附店 所在地  新潟県見附市
閉鎖日  平成16年10月31日
年間売上高(平成16年3月期) 787,681千円
B 事業所名 駅前店 所在地  新潟県小千谷市
閉鎖日  平成16年10月31日
年間売上高(平成16年3月期)594,136千円
また、当該地震による被害により商品の廃棄損失、設備の修繕費用および固定資産の除却損失の発生により、総額400,000千円程度の特別損失の計上を見込んでおります。

以上が特徴的な事例ですが、17社すべての事例を参照されたい方は、こちらの資料をご参照ください。
後発事象の開示事例集


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災害時の開示
Part1:災害時の決算処理(2011/3/18)
Part2:特定非常災害特別措置法(2011/3/28)
Part3-1:三洋電機(適時開示−地震発生から2日後)(2011/3/29)
Part3-2:三洋電機(適時開示−地震発生から約2ヶ月)(2011/3/29)
Part3-3:三洋電機(半期報告書:後発事象)(2011/3/29)
Part3-4:三洋電機(四半期決算短信)(2011/3/29)
Part3-5:三洋電機(有価証券報告書)(2011/3/29)
Part3-6:三洋電機(招集通知)(2011/3/29)
Part4:後発事象の開示事例集(2011/3/30)
Part5:法務省「定時株主総会の開催の延期」について(2011/3/30)
Part6:有価証券報告書での開示事例集(2011/4/1)
Part7:東日本大震災に関する有報での開示事例集(2011/4/4)
Part8:協会会長通牒にある『阪神・淡路大震災に係る災害損失の会計処理及び表示について』(2011/4/6)
Part9:東日本大震災の四半期報告書での開示事例集(2011/4/13)
Part10:国税庁の「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ」(2011/4/18)
Part11:国税庁の法令解釈通達「東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱いについて」と質疑応答事例(2011/4/22)
カレントトピックス
災害時の開示
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子会社のIFRS
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  Part22:有給休暇引当金開示の実態と分析(2014/9/9)    
  Part23:開発費資産計上の実態と分析(2014/11/10)   
  Part24:賦課金の会計処理と固定資産税(2015/11/18)  
  Part25:闇に葬られてしまった有給休暇引当金問題(2016/9/9)   
  
IFRS対応プロジェクト最前線
Part1:影響度調査での重要性(2010/10/19)
Part2:影響度調査が終わったら(2010/10/25)
Part3:グループ会計方針(2010/11/23)
Part4:影響度調査後のプロジェクト体制 (2010/12/9)
Part5:公開草案への対応 (2011/1/7)
Part6:影響度調査の盲点 (2011/1/21)
Part7:IFRS適用時の監査対応 (2011/2/21)
Part8:2011年3月時点でのIFRS対応状況(2011/3/14)
Part9:IFRS適用時期と大震災(2011/4/27)
Part10:中国子会社の決算期ズレへの対応方法(2011/5/18)
Part11:IFRSでの勘定科目体系(2011/5/27)
Part12:グループ会計方針での重要性の判断規準(2011/6/1)
Part13:自見庄三郎金融担当大臣の談話に関する留意点(2011/6/27)
Part14:6月30日の企業会計審議会の議論について(2011/7/14)
Part15:IFRS適用の今後の展開予測(2011/7/14)
Part16:さまざまなグループ会計方針書(2011/8/31)
Part17:IFRS決算体制はいつから検討するか(2012/2/8)
  Part18:馬鹿に出来ない!?最初のIFRS財務諸表をアニュアルレポートで開示するメリット(2012/4/11)
  Part19:金融商品としての売掛金の開示(2012/4/24) 
  Part20:うちはどうするIFRS?(2012/6/19)  
  Part21:膨大な注記への対応(2012/7/31)
  Part22:定額法への減価償却方法の変更の動向(2012/8/27) 
  Part23:減価償却方法変更の記載事例(2012/9/16)  
  Part24:耐用年数変更の記載事例(2012/10/1)   
  Part25:監査法人へのIFRS対応報酬の支払状況(2012/11/12)  
  Part26:IFRS任意適用の動向(2013/4/2) 
  Part27:J-IFRS(日本版IFRS)のねらい(2013/6/20)  
  Part28:IFRSの任意適用を拡大させる第一弾か?(2013/6/23)   
  Part29:IFRSの任意適用拡大に向けての経団連の期待と役割(2013/9/2)    
  Part30:日本企業同士の合併とIFRS(2013/10/11) 
  Part31:新指数『JPX日経インデックス400』はIFRS任意適用拡大に影響があるか(2013/12/24)  
  Part32:自民党・日本経済再生本部の「日本再生ビジョン」におけるIFRSの記載(2014/6/5)
  Part33:骨太の方針とIFRS(2014/6/27)  
  Part34:任意適用積み上げの動向と強制適用の可能性(2015/1/13)     
  Part35:注記情報の大幅削減が可能に!!(2015/2/9)  
  Part36:開示ボリュームを激減させる具体例(2015/5/14)   
  Part37:連結決算短信での「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の記載状況(2015/6/9)   
  Part38:IFRS適用の対応コスト(2015/6/9)     
  Part39:4つの会計基準収斂の方向性(2015/6/9)  
  Part40:IFRS財団は日本の現状をどう見ているか(2015/7/28)   
  Part41:丸紅の初度適用(短信からの初度適用)(2015/9/8)   
  Part42:単体財務諸表へのIFRS任意適用の動き(2016/9/9)
  Part43:米国基準を適用している企業の動き(2017/3/15)
  
中田版『IFRSの誤解』 
Part1:包括利益(2010/8/6)
Part2:連結の範囲 (2010/8/30)
Part3:棚卸資産会計(2010/9/27)
Part4:IFRS適用時期(2010/10/05)
Part5:海外子会社の機能通貨(2010/10/12)
Part6:収益認識(FOBとCIF)(2010/11/8)
Part7:初度適用と海外子会社のPL換算(2010/12/29)
Part8:IAS第16号の「一会計期間」は「一年」(2011/1/14)
Part9:海外子会社の機能通貨(その2)(2011/3/7)
Part10:子会社の会計方針の統一(2011/3/28)
Part11:IFRSは時価会計的でM&Aのためにある(2011/7/25)
Part12:IFRSは投資家にとっても役に立たない(2011/8/1)
  Part13:300万円ルールなどがないIFRSではすべてのリースがオンバランスになる(2014/2/24)   
  Part14:開示義務の明文規定がある場合には、すべて開示しなければならない(2014/5/9) 
 
勝手に解説『山田辰己理事のIASB会議レポート』
Part1:連結子会社の開示
 (2010/8/17)
Part2:概念フレームワーク
 (2010/8/23)
Part3:アメリカの動向(2011/8/23)
 
『グループ法人税制が与える連結決算への影響』
Part1:固定資産未実現に係る税効果の会計手続き(譲渡損益調整資産の取扱い)(2010/9/7)
Part2:連結法人間の寄附金に係る税効果の会計手続き
(2010/9/13)
Part3:中小特例の取扱い(2010/9/21)
 

『やさしく深掘り IFRSの概念フレームワーク』
『やさしく深掘り IFRSの有形固定資産』
『わかった気になるIFRS』
『連結経営管理の実務』
『内部統制のための連結決算業務プロセスの文書化』


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